価格帯別出来高:売買の多い価格帯を支持線として使う
- 過去250日で出来高が最も多い価格帯(POC)に上から戻ったのは、19年で47回。10日以内に割れずに済んだのは34.0%だった
- POCを3〜15%ずらした26本の線の平均は42.2%。POCは「ただの線」より反発しやすいわけではなかった
- タッチの日に買って10日保有すると、年率−1.6%・PF0.62。取引は36回で、前半・後半とも年率マイナス
価格帯別出来高は「横向きの出来高」
ふつうの出来高は、日ごとの棒を時間の順に並べます。価格帯別出来高(ボリュームプロファイル)は、同じ出来高を価格の帯ごとに集計し、横向きのヒストグラムにしたものです。最も出来高が多い帯をPOC(ポイント・オブ・コントロール)と呼びます。
本来は日中の約定データで作りますが、今回は日足しかないため、その日の出来高をすべて典型価格(高値・安値・終値の平均)の帯に入れるという簡略化をしました。期間は前日までの250営業日(約1年)で、当日のデータは使いません。帯の幅は平均で価格の0.64%です。
出来高が最大の帯の中心
タッチ = |終値÷POC−1| ≦ 1%
かつ 前日終値 > POC×1.01
かつ 直前20日に終値 > POC×1.03
POCの帯には、50帯のうち平均6.5%の出来高が集まっていました。均等なら2.0%なので、売買の「たまり場」があること自体は確かです。
「たくさん売買された価格=支え」とは限りません。同じ価格で売った人も同じだけいます。出来高の多さは、その価格で買い手と売り手が釣り合っていたことを示すだけで、次にどちらが勝つかまでは教えてくれません。
実際の日経平均で見てみる
2024年10月から2025年7月まで、POCは4万円前後(39,883〜40,835円)にとどまり、タッチが8回ありました。2025年2月20日のタッチ(終値40,160円)は、10営業日後に38,320円(−4.58%)と帯を割っています。急落時の2025年4月7日は終値32,650円で、POC 40,975円の20.3%下でした。
POCは急に跳ぶこともあります。出来高の山が4万円付近と5万円台の2つに分かれ、2026年2月13日に39,508円→52,095円、2月26日に38,617円へ戻り、3月27日に39,299円→55,813円と移りました。この3月27日は終値55,480円でタッチになり、10営業日後は59,520円(+7.28%)。ただし途中でPOC−1%を割っており、「支えた」形ではありません。10月2日の終値71,040円はPOC 55,963円の26.9%上です。
検証①:POCは「ただの線」より止まるか
方法:2007年4月〜2026年10月のタッチ後10営業日に、終値がPOC−1%を一度も割らなければ「反発」と数えます。同じ判定を、POCを−15%〜−3%、+3%〜+15%(1%刻み)ずらした26本の線でも行いました。
POCの反発率34.0%は、ずらした26本の平均42.2%を8.2ポイント下回りました。47回では偶然でも±7.2ポイントはぶれるので、「POCの方が割れやすい」とも言えません。10日後の平均リターンもPOCは−0.69%で、26本のうち23本がこれを上回ります。
線の位置ではなく「その帯の出来高の厚さ」で分けても、反発率はPOC以外の厚い帯(最大の75%以上)で59.6%、出来高ゼロの価格で44.5%、25〜50%の帯で35.5%と並びがそろわず、厚さとの相関は−0.004でした。帯の数(25・100)や期間(125日・500日)、タッチの幅を変えても、POCの反発率は32.3〜46.4%の間にとどまりました。
検証②:タッチの日に買って10日保有
ルール:上からのタッチの日にETF1321の終値で買い、10営業日後に売る(感度は8日・12日)。POCを±5%ずらした線と、50日線への同じタッチとも比べました。売買も買い持ちもETF1321の終値で計算し、そのほかの条件は共通の検証ルールのとおりです。
| 戦略(ETF1321) | 最終資産 | 年率 | 最大下落率 | 取引 | 勝率 | PF | 保有率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 買い持ち(ETF) | 4.03倍 | 7.4% | −61.0% | — | — | — | 100% |
| POCタッチ 10日保有 | 0.73倍 | −1.6% | −43.1% | 36 | 42% | 0.62 | 9% |
| 同 8日保有 | 0.66倍 | −2.1% | −42.1% | 37 | 41% | 0.54 | 7% |
| 同 12日保有 | 0.84倍 | −0.9% | −33.5% | 36 | 50% | 0.82 | 10% |
| POC−5%の線 | 1.12倍 | 0.6% | −26.1% | 41 | 59% | 1.23 | 10% |
| POC+5%の線 | 0.94倍 | −0.3% | −27.9% | 12 | 50% | 0.87 | 3% |
| (参考)50日線にタッチ | 0.62倍 | −2.4% | −43.6% | 64 | 44% | 0.68 | 17% |
タッチは47回でも、10日以内に重なったものがまとまり、取引は36回。1回あたりの平均は−0.80%で、コストをゼロにしても年率−1.27%です。最悪は2011年3月3日のタッチで、10日後は−14.7%でした。ずらした26本では年率−1.91〜3.45%(平均0.37%)で、POCより年率が高い線が25本ありました。
読み解き
- POCが支えになるという証拠は得られなかった。反発率34.0%は、ずらした26本の平均42.2%を下回り、帯の出来高の厚さと反発にも関係が見られなかった。「特別な線」は比較用の線と見分けがつかない。
- 売買ルールとしては赤字。年率−1.6%・PF0.62で、保有日数を8日・12日に変えてもマイナス。最大下落率−43.1%は買い持ち(−61.0%)より小さいが、保有率9%の割に大きい。
- そもそもタッチが少ない。相場が一方向に動くとPOCは置き去りになり、2026年10月2日は終値がPOCの26.9%上。19年で47回しか出番がなく、1年分の値幅を50に分けた帯は時期によって0.23〜1.56%と幅も変わる。
成績のまとめ(POCタッチで買い、10日保有)
取引は36回と少なく、PF0.62、前半・後半とも年率マイナス、保有日数を変えてもマイナスだった。反発率もPOCをずらした線の平均を下回り、「最多出来高帯で反発する」という前提そのものが確認できなかった。日足の典型価格に出来高をまとめる簡略化をしているため、日中データで作るプロファイルとは結果が違う可能性は残る。
自分で試す(TradingView)
//@version=6
indicator("価格帯別出来高のPOC(日足の簡易版)", overlay = true, max_bars_back = 300)
len = input.int(250, "期間")
bins = input.int(50, "帯の数")
tp = hlc3 // 典型価格
lo = ta.lowest(tp[1], len) // 前日までの期間
hi = ta.highest(tp[1], len)
float poc = na
if bar_index > len and hi > lo
vols = array.new_float(bins, 0.0)
for i = 1 to len // その日の出来高を典型価格の帯に丸ごと入れる
k = math.min(math.floor((tp[i] - lo) / (hi - lo) * bins), bins - 1)
array.set(vols, k, array.get(vols, k) + volume[i])
j = array.indexof(vols, array.max(vols))
poc := lo + (j + 0.5) * (hi - lo) / bins
inBand = close <= poc * 1.01 and close >= poc * 0.99
wasUp = ta.highest(close[1], 20) > poc * 1.03
touch = inBand and close[1] > poc[1] * 1.01 and wasUp
plot(poc, "POC", color.blue, 2)
plot(poc * 1.01, "POC+1%", color.new(color.blue, 60))
plotshape(touch, "POCタッチ", shape.triangleup, location.belowbar, color.orange, size = size.tiny)

