「上昇トレンドの押し目だけ買えば、負けないんじゃないですか?」
- 計画どおりの組み合わせは年率0.0%・PF1.07・取引30回。部品単独(終値>200日線で年率4.1%、RSI 40→65で2.2%)をどちらも下回った
- 200日線の役割は「平均を上げる」ことではない。RSI<40の日の10日後は200日線の上で+1.02%、下で+1.06%とほぼ同じ。有効だったのは−48.1%の大負けを避けた点
- 敗因は出口。200日線割れでの撤退は19回すべて負け、RSI>65での利確は11回すべて勝ち
役割分担:200日線が「環境」、RSIが「タイミング」
組み合わせ方にはいくつかの型があります。今回は役割分担型。一方の指標(200日移動平均線)で「今は買ってよい相場か」を決め、もう一方(RSI)で「いつ買うか」を決めます。上昇相場の途中の一時的な下げで買う、いわゆる押し目買いです。
かつ RSI(14) < 40
売り:RSI(14) > 65
または 終値 < 200日線
2007年4月以降、終値が200日線より上だった日は62.1%、RSI(14)が40未満の日は13.5%。両方がそろった日は3.0%(145日)しかありません。200日線の下でRSIが40未満だった日は498日あり、こちらは見送ります。
「条件を重ねるほど精度が上がる」とは限りません。条件を足すと取引は減ります。減った分が悪い取引だけなら改善しますが、良い取引まで削ったり、新しい条件が出口で損を確定させたりすれば、かえって悪化します。
実際の日経平均で見てみる
直近500日でRSIが40を割った日は30日、うち200日線の上は9日でした。2025年4月7日はRSIが14.0まで下がりましたが、終値31,136円は200日線(38,423円)の下で、ルールは見送りました。
買いは2026年3月9日(52,729円、RSI37.7)と7月17日(64,141円、RSI39.1)。それぞれ4月16日(RSI66.9)、10月1日(RSI65.9)に利確し、+12.7%と+7.3%でした。逆に2024年7月25日の買いは、8月2日に終値35,910円が200日線36,858円を割って−5.4%で撤退。翌営業日の8月5日は31,458円まで下げたので、この撤退は損を小さくしました。
検証:組み合わせと部品単独を並べる
ルール:上の式のとおり(事前に計画)。部品単独として#001の50日×200日クロス、方向だけの「終値>200日線で保有」、#002のRSI 30→70、同じ閾値でフィルターなしのRSI 40→65を並べます。条件は共通の検証ルールのとおりです。
| 戦略 | 年率 | 最大下落率 | 取引 | PF | 勝率 | 保有率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 買い持ち | 7.3% | −61.4% | — | — | — | 100% |
| 200日線上×RSI<40→>65 | 0.0% | −35.8% | 30 | 1.07 | 37% | 14% |
| 終値>200日線で保有 | 4.1% | −34.5% | 81 | 1.35 | 15% | 62% |
| #001 50日×200日クロス | 6.5% | −36.7% | 15 | 2.51 | 33% | 61% |
| RSI 40→65(フィルターなし) | 2.2% | −58.2% | 39 | 1.69 | 64% | 56% |
| #002 RSI 30→70 | 1.7% | −61.4% | 17 | 2.04 | 82% | 48% |
組み合わせで良くなったのは最大下落率だけです。RSI 40→65単独の−58.2%が−35.8%に縮みました。ただ、それは方向だけの−34.5%とほぼ同じ。一方で年率は0.0%、PFは1.07と、どの部品よりも悪くなりました。保有率は14%で、19年の大半を現金で過ごしています。
感度は、期間(200日・14日)を×0.8(160日・RSI11)と×1.2(240日・RSI17)に一緒に変えました。閾値40・65は水準なので固定です。年率は−0.2%と1.4%。参考に閾値も×0.8・×1.2すると1.0%と2.5%でした。
組み合わせて初めて見えたこと
同じ「RSI<40」でも、平均は環境で変わらない
200日線の上下とRSIの水準で全日を6つに分け、10営業日後のリターンを比べました(全日平均+0.38%)。
| 状態 | 日数 | 10日後平均 | 上昇率 |
|---|---|---|---|
| 200日線上 × RSI<40 | 145 | +1.02% | 60.7% |
| 200日線上 × RSI40〜65 | 2,079 | +0.27% | 54.7% |
| 200日線上 × RSI>65 | 730 | +0.42% | 55.6% |
| 200日線下 × RSI<40 | 498 | +1.06% | 62.4% |
| 200日線下 × RSI40〜65 | 1,283 | +0.16% | 55.9% |
| 200日線下 × RSI>65 | 25 | +2.26% | 68.0% |
RSI<40の押し目は、200日線の上でも下でも10日後の平均は約+1%。方向の判定は、平均的な押し目の質を上げていません。差が出るのは深い売られすぎです。RSI<30では200日線の上が+0.84%(12日)、下が+0.34%(125日)で、下の場合は下位10%が−9.29%まで悪化します。
フィルターが外した14回
RSI 40→65単独の39回の取引を、買った日の位置で分けました。200日線の上で買った25回はPF3.28、下で買った14回はPF0.94。下の14回には2007年10月25日→2009年3月24日の−48.1%が含まれます。200日線が単独RSIから取り除いたのは、主にこの1回の大負けでした。
敗因は出口:200日線割れの撤退は19戦全敗
組み合わせの30回の売りのうち、RSI>65の利確は11回で全勝(平均+7.25%)、200日線割れの撤退は19回で全敗(平均−3.91%)。200日線の少し上で押し目を買うので、もう一段下げるとすぐ線を割り、平均25暦日で損切りになります。2018年2月5日→3月5日の−7.4%、2014年1月27日→2月4日の−6.8%などです。参考までに、売りをRSI>65だけにすると年率3.7%・PF3.46・最大下落率−32.0%(取引26回)。ただし結果を見てから作った版なので、参考扱いです。
読み解き
- 組み合わせは部品単独より悪化した。年率0.0%は、終値>200日線(4.1%)にもRSI 40→65(2.2%)にも届かない。改善したのは最大下落率だけで、それも方向単独の−34.5%と同程度。
- 200日線の価値は「平均」でなく「尾」にある。RSI<40の10日後は上で+1.02%、下で+1.06%と同じ。外した14回のうち1回の−48.1%を避けたことが主な効果だった。
- 同じ指標を入口と出口の両方に使うと、ぶつかる。押し目は200日線の近くで起きやすく、入口の直後に出口の条件が来る。撤退19回は全敗で、利確11回の利益をほぼ打ち消した。
成績のまとめ(200日線上×RSI<40→RSI>65か200日線割れ)
取引30回、PF1.07。年率0.0%は買い持ち7.3%に遠く、部品単独のどちらにも劣る。最大下落率−35.8%は買い持ち−61.4%より浅いが、方向単独(−34.5%)で得られる程度の改善だった。押し目買いの発想そのものより、200日線を出口にも使ったことが成績を崩している。
自分で試す(TradingView)
//@version=6
strategy("200日線×RSI 押し目買い", overlay = true, commission_type = strategy.commission.percent, commission_value = 0.1)
nMA = input.int(200, "移動平均(日)")
nR = input.int(14, "RSI期間")
lo = input.int(40, "買い:RSI未満")
hi = input.int(65, "売り:RSI超")
ma = ta.sma(close, nMA)
r = ta.rsi(close, nR)
up = close > ma
if strategy.position_size == 0 and up and r < lo
strategy.entry("L", strategy.long)
if strategy.position_size > 0 and (r > hi or not up)
strategy.close("L")
plot(ma, "200日線", color = color.blue)
bgcolor(up ? color.new(color.green, 92) : na, title = "200日線の上")

