MFI:出来高入りのRSIで売られすぎを見る
- MFI(14)とRSI(14)の相関は0.775。MFIの方が振れ幅が大きく、20以下になった日はMFI111日、RSI15日
- MFI(14)「20以下で買い・80以上で売り」は年率3.4%・PF2.56。同じETFのRSI14 30/70(年率2.4%)を上回ったが、取引は21回
- 出来高を外したMFIでは取引6回・年率0.6%。差を生んだのは「急落の日に出来高が膨らむ」性質だった
MFIは「出来高で重みをつけた上げの割合」
MFI(マネーフロー・インデックス)は、毎日の典型価格(高値・安値・終値の平均)に出来高をかけた「マネーフロー」を使います。典型価格が前日より上がった日のマネーフローを「流入」、下がった日を「流出」として14日分合計し、流入の割合を0〜100で表します。
流入・流出 = 各14日の合計
マネーフロー = 典型価格 × 出来高
典型価格 =(高値 + 安値 + 終値)÷ 3
RSIとの違いは「値幅」と「出来高」
RSIは「上げ幅」と「下げ幅」を比べます。MFIは値幅を使いません。14日程度では典型価格はほとんど変わらないので、MFIは実質的に「上げた日の出来高」と「下げた日の出来高」の比です。ETF1321で約19年分を数えると、MFI(14)の標準偏差は17.4、RSI(14)は12.0。出来高を外したMFIは13.8で、出来高が振れ幅をさらに広げています。20以下になった日はMFIが111日、RSIは15日しかありません。
「MFIの20はRSIの20と同じ意味」ではありません。振れ幅が違うため、出現頻度で見るとMFIの20以下(全体の2.3%)は、RSIの30以下(2.8%)に近い水準です。
実際の日経平均で見てみる
2025年4月7日、ETFの終値は32,650円、出来高はふだんの4.67倍でした。MFIは17.0、RSIは14.1と、どちらも売られすぎ。主ルールはここで買い、5月2日に売って+18.1%でした。
2つが大きく食い違ったのはその直後です。5月15日、MFIは93.2まで上がったのに、RSIは64.1。戻り局面で出来高をともなう上げが続いたためです。直近500日でMFIが80以上だった日は14日、RSIが80以上の日は0日でした。2026年10月2日はMFI62.2・RSI63.3で、主ルールは現金です。
検証:MFI 20/80 とRSIの直接対決
ルール:MFI(14)が20以下になったら買い、80以上になったら売り。同じETFでRSI(14)の20/80と30/70、出来高を外したMFI、期間11日・17日も試し、#002(日経平均のRSI14 30/70)と並べました。条件は共通の検証ルールのとおりです。
| 戦略(ETF1321) | 最終資産 | 年率 | 最大下落率 | 取引 | 勝率 | PF | 保有率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 買い持ち(ETF) | 4.03倍 | 7.4% | −61.0% | — | — | — | 100% |
| MFI14 20で買い→80で売り | 1.92倍 | 3.4% | −58.9% | 21 | 76% | 2.56 | 27% |
| MFI11 20→80 | 1.66倍 | 2.6% | −55.4% | 33 | 67% | 1.99 | 35% |
| MFI17 20→80 | 1.61倍 | 2.5% | −58.9% | 15 | 73% | 2.58 | 25% |
| MFI14 出来高なし 20→80 | 1.12倍 | 0.6% | −55.4% | 6 | 67% | 1.71 | 16% |
| RSI14 20→80 | 2.55倍 | 4.9% | −59.3% | 3 | 67% | 2.07 | 62% |
| RSI14 30→70 | 1.59倍 | 2.4% | −61.0% | 17 | 82% | 2.26 | 52% |
| MFI14 30→70 | 1.88倍 | 3.3% | −53.1% | 51 | 69% | 1.71 | 41% |
| (参考)#002 RSI14 30→70(日経平均) | 1.38倍 | 1.7% | −61.4% | 17 | 82% | 2.04 | 48% |
| (参考)MFI14 20で買い→50で売り | 2.14倍 | 4.0% | −24.6% | 33 | 79% | 3.64 | 9% |
RSIの20/80は約19年で取引3回、平均保有802日。年率4.9%は「ほぼ買い持ち」に近い結果で、売買ルールとしては機能していません。実用的な比較相手はRSIの30/70で、MFIの20/80は年率3.4%と、RSIの2.4%を上回りました。保有率は27%で、RSIの52%の半分ほどです。
弱点は#002と同じです。最初の取引は2007年7月30日に買い、MFIが80に届かないまま2009年1月7日まで持ち続けて−46.1%。残る20回の取引のうち負けは4回で、最悪でも−6.4%でした。
出来高が有効な日、有効でない日
典型価格が上がった日の出来高は20日中央値の1.14倍、下がった日は1.22倍。前日比−3%以下の急落日は2.32倍に膨らみます。急落の日ほど出来高が多いため、MFIはRSIより深く沈みます。出来高を外すと20以下の日は17日しかなく、取引は6回に減りました。
食い違う日は多く、MFI≤20の111日のうちRSIも30以下だったのは45日だけです。MFIだけが80以上の日は、その後20日の平均が+0.09%と全日平均を下回りました。出来高をともなう上げは、売りの目安としても働いていました。
読み解き
- MFIはRSIの30/70に勝ったが、差は小さい。年率3.4%対2.4%、最大下落率−58.9%対−61.0%。どちらも買い持ちの年率7.4%には遠い。
- 出来高の効果は本物。出来高を外すと取引6回・年率0.6%。急落日の出来高が平常の2.32倍になる性質が、MFIを売られすぎ側に深く沈め、買いの機会を作った。
- 「80まで待つ」出口の弱さは残る。2008年の1回で−46.1%。売りを50に早めると最大下落率は−24.6%まで縮むが、結果を見てからの設定なので参考にとどめる。
成績のまとめ(MFI14 20で買い→80で売り)
取引は21回と少ない。同じETFのRSI14 30/70(年率2.4%・取引17回)と比べると、年率3.4%で上回った。ただし最大下落率は−58.9%と買い持ちの−61.0%に近く、2008年の1回の取引に成績が左右されている。21回という少なさを踏まえ、「RSIより良い」は傾向として受け取るべきだ。
自分で試す(TradingView)
//@version=6
indicator("MFIとRSI(20/80)", overlay = false)
m = ta.mfi(hlc3, 14) // 典型価格×出来高で計算
r = ta.rsi(close, 14)
var bool inPos = false
if not inPos and m <= 20
inPos := true
else if inPos and m >= 80
inPos := false
plot(m, "MFI(14)", color = color.blue)
plot(r, "RSI(14)", color = color.orange)
hline(80, "80", color = color.red)
hline(20, "20", color = color.green)
bgcolor(inPos ? color.new(color.blue, 88) : na, title = "保有中")

