#002 · オシレーター系 · 日経平均 日足
RSI:行き過ぎた値動きから反転を狙う
2026年10月3日読了 約10分
ぜ
ぜにぴよ2025年4月に日経平均が急落したとき、RSIが14まで下がっていたって聞きました。「30以下は売られすぎ」なんですよね? あそこで買っておけば…
所
所長たしかに、あの後は大きく戻った。でも、1回うまくいった話と、ルールとして19年続けた結果はまったく別物なんだ。今日は「勝率が高いのに儲からない」不思議を一緒に見ていこう。
この記事でわかること
- RSIは「最近の値動きのうち、上げが何割だったか」を0〜100で表す
- 30割れの後は、平均すると短期的に戻りやすい(20営業日後 +2.5%)
- それでも「30で買って70まで待つ」は、1回の大損で19年分の勝ちが消えた
RSIは「上げの割合」
RSI(相対力指数)は、1978年にJ・W・ワイルダーが発表した指標です。直近14日間の値動きを「上げた幅」と「下げた幅」に分け、上げが全体の何割だったかを0〜100で表します。
RSIの中身は「上げ幅 ÷(上げ幅+下げ幅)」
14日間の上げ幅の平均が60円、下げ幅の平均が40円なら RSI=60
RSI = 上げ幅の平均 ÷ ( 上げ幅の平均 + 下げ幅の平均 ) × 100
※ワイルダーの方式では、平均に「指数平滑」を使います。考え方は上の図と同じです。
70以上は買われすぎ、30以下は売られすぎ
14日間ずっと上がり続ければRSIは100に、ずっと下がり続ければ0に近づきます。一般に70以上を「買われすぎ」、30以下を「売られすぎ」と呼び、30以下は反発を狙う買い場とされます。
RSIのものさし
2025年4月7日は14.0まで低下。2026年10月2日は62.0
実際の日経平均で見てみる
2025年4月の急落で、RSIは14まで沈んだ
上:日経平均の終値、下:RSI(14)。グラフに触れると値が出ます
データ:TradingView(TVC:NI225)2024年9月〜2026年10月2日
2025年4月7日、日経平均の終値は31,136円まで下がり、RSIは14.0。この2年で最も「売られすぎ」た日です。直近2年でRSIが30を割り込んだのは、2025年3月31日、4月3日、4月9日の3回だけでした。
検証①:30割れの後、相場はどう動いた?
まず単純な問いから。RSIが30を下に割り込んだ日に買い、20営業日(約1か月)後にどうなっていたかを、19年分すべて集計しました。
30割れの後は、平均すると普段より戻りやすい
20営業日後の平均リターン。2007年4月〜2026年10月
30を割った日(46回)+2.49%
すべての日(平均)+0.75%
70を超えた日(94回)+0.23%
20営業日後に上がっていた割合:30割れ 72%、70超え 59%
ここまでは教科書どおりです。30割れの後は平均+2.49%と、普段(+0.75%)の3倍以上戻っています。70超えの後は伸びが鈍い。「売られすぎ」「買われすぎ」には一定の意味がありそうです。
検証②:「30で買い、70で売り」を続けると
ルール:RSIが30を下回ったら買い、70を上回るまで持ち続ける。比較のため、期間9日、売りを50に早めた版も試しました。条件は共通の検証ルールのとおりです。
| 戦略 | 最終資産 | 年率 | 最大下落率 | 取引 | 勝率 | PF | 平均保有 |
| 買い持ち | 3.93倍 | 7.3% | −61.4% | — | — | — | — |
| RSI14 30で買い→70で売り | 1.38倍 | 1.7% | −61.4% | 17 | 82% | 2.04 | 136日 |
| RSI9 30で買い→70で売り | 2.20倍 | 4.1% | −53.4% | 41 | 66% | 2.17 | 54日 |
| RSI14 30で買い→50で売り | 1.49倍 | 2.1% | −35.6% | 28 | 75% | 1.97 | 17日 |
勝率82%、なのに年率1.7%。最大下落率は買い持ちとまったく同じ−61.4%です。何が起きたのでしょうか。
勝率の罠:17回の取引を並べてみる
14勝3敗。でも、たった1敗で−50%
RSI14「30で買い→70で売り」の各取引の損益(%)。バーに触れると期間が出ます
最初の取引は、検証開始時点(2007年4月)ですでに保有中だったもの
原因は1回の取引です。2007年4月に持っていた株は、RSIが70を超えるのを待ち続け、リーマン・ショックをまたいで2009年3月まで手放せませんでした。結果は−50.3%。「70に戻るまで売らない」というルールは、下がり続ける相場では「売るタイミングが来ない」ルールでもあったのです。
誤解「勝率が高い=良い手法」ではありません。小さな勝ちを積み重ねても、1回の大きな負けで消えてしまえば意味がない。勝率は、平均利益・平均損失とセットで見る必要があります。
リーマン・ショックの穴を、最後まで埋めきれなかった
開始時を1とした資産の推移(対数目盛)、月末値、コスト控除後
買い持ち30で買い→70で売り30で買い→50で売り
売りを50に早めた版は、最大下落率が−35.6%まで改善しました。株を持っている期間が全体の10%しかないため、大きな下げに巻き込まれにくいのです。ただし年率は2.1%にとどまります。
読み解き
- 「売られすぎ」には意味がある。30割れの後の1か月は、平均して普段より戻りやすい。
- 問題は「出口」。70まで待つと、暴落時に損を抱えたまま動けなくなる。逆張りには、損切りや期限などの別の出口が欠かせない。
- RSI単独では、トレンドに逆らう。下落トレンドでは30割れが何度も続く。#001の移動平均線のような「流れ」の判定と組み合わせる余地がある。
成績のまとめ
まとめ「30で買い→70で売り」はPF2.04と高いが、取引は19年で17回と少なく、最大下落率−61.4%は買い持ちと同じだった。一方「30で買い→50で売り」は取引28回と少ないものの、最大下落率を−35.6%に抑え、PF1.97を保っており、出口を工夫した逆張りとして再検証の価値がある。
ぜ
ぜにぴよ2025年4月みたいな「1回の成功」だけ見て飛びつくところでした…。売られすぎは本当でも、売る場所を決めておかないと怖いんですね。
所
所長そのとおり。指標は「入口」より「出口」で成績が決まることが多いんだ。次は、移動平均線を改良した「MACD」。反応が早いのは良いことなのか、確かめてみよう。
自分で試す(TradingView)
//@version=6
indicator("RSI 30/70", overlay = false)
len = input.int(14, "期間")
lo = input.int(30, "売られすぎ")
hi = input.int(70, "買われすぎ")
r = ta.rsi(close, len)
plot(r, "RSI", color = color.blue)
hline(hi, "買われすぎ", color = color.red)
hline(lo, "売られすぎ", color = color.green)
plotshape(ta.crossunder(r, lo), "30割れ", shape.circle, location.bottom, color.green, size = size.tiny)