パーフェクトオーダー:移動平均の並び順で強いトレンドを見分ける
- 5日>25日>75日の並びは全営業日の40.2%。1回の継続は中央値12日で、60日以上続いたのは5%だけ
- 並びの間だけ持つと年率2.5%・最大下落率−38.1%。取引98回で、期間を4/20/60日にすると年率−0.56%に落ちた
- 逆の並び(75日>25日>5日)の日は、20営業日後の平均リターンが+1.20%と全日平均+0.75%を上回った
3本の移動平均線が「上から順に」並ぶ状態
パーフェクトオーダーは、期間の短い移動平均線ほど上にある状態です。日本では5日・25日・75日の組み合わせがよく使われます。移動平均線そのものは#001で扱いました。短い線ほど最近の価格に近いので、短い線が上にあるということは「最近ほど高い」、つまり上昇が続いていることを意味します。
5日線 > 25日線 > 75日線
逆パーフェクトオーダー
5日線 < 25日線 < 75日線
3本の並び方は全部で6通りあります。そのうち上から順に並ぶのが1通り、逆順が1通りで、残り4通りは「途中」の状態です。上昇が始まると、まず5日線が25日線を、次に25日線が75日線を上抜けて、上から順に並びます。並びが崩れるのは、多くの場合5日線が25日線を割ったときです。
「始まったら続く」かを数えてみる
2007年4月以降の日経平均では、パーフェクトオーダーは98回始まり、1回あたり平均19.5日、中央値12日続きました。平均が中央値より長いのは、一部の長い区間が平均を引き上げているためです。
| 区間の長さ | 回数 | 中央値 | 1〜3日で終了 | 20日以上 | 60日以上 | 最長 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| パーフェクトオーダー | 98 | 12日 | 13% | 34% | 5% | 124日 |
| 逆パーフェクトオーダー | 70 | 13日 | 16% | 29% | 0% | 56日 |
| パーフェクトオーダー+3本上向き | 216 | 4日 | 50% | 2% | 0% | 37日 |
最長は2012年11月20日〜2013年5月28日の124日で、終値は9,143円から14,312円まで+56.54%上がりました。2番目は2025年5月29日〜11月18日の118日(38,433円→48,703円)です。一方、始まったばかりのパーフェクトオーダーが「さらに10日以上続く」確率は51%。すでに10日続いたものでは63%、40日続いたものでは67%でした。始まった時点では五分五分で、続いているものほど続きやすい、という形です。
「パーフェクトオーダーになったら買い」は、並びがそろった時点でかなり上がった後です。並びが始まった日の20営業日後の平均リターンは+0.32%で、全日平均+0.75%の半分以下でした。並びは「上昇が続いてきた」ことの確認であって、これからの上昇の予告ではありません。
実際の日経平均で見てみる
直近500営業日では、パーフェクトオーダーの日が55.0%、逆の並びが12.2%でした。長期平均(40.2%・22.2%)より上の並びに偏っており、上昇相場だったことがわかります。
2025年4月の急落の前、パーフェクトオーダーは2月19日(39,165円)に終わっていました。急落した4月7日(31,136円)は逆の並びです。その後5月29日(38,433円)に再び並び、11月18日(48,703円)まで118日続きました。2026年は4月17日〜7月8日の55日(58,476円→66,819円、+14.27%)が長く続いた区間です。9月3日〜25日は逆の並びになりましたが、その間に終値は64,214円から66,364円へ上がっています。10月2日の終値は68,309円で、5日線67,076円・75日線66,765円・25日線65,532円と、パーフェクトオーダーの一歩手前の並びです。
検証①:パーフェクトオーダーの間だけ保有
ルール:終値で5日線>25日線>75日線になったら買い、並びが崩れたら売る。あわせて「3本とも前日より上向き」を条件に加えた版、パーフェクトオーダーで買って25日線が75日線を割るまで持つ版、#001の2本線(5日>25日、25日>75日の間だけ保有)とも比べました。条件は共通の検証ルールのとおりです。
| 戦略 | 最終資産 | 年率 | 最大下落率 | 取引 | 勝率 | PF | 保有率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 買い持ち | 3.93倍 | 7.3% | −61.4% | — | — | — | 100% |
| パーフェクトオーダーの間保有 | 1.63倍 | 2.5% | −38.1% | 98 | 29% | 1.45 | 40% |
| +3本とも上向きの間保有 | 1.12倍 | 0.6% | −25.5% | 216 | 31% | 1.11 | 24% |
| POで買い→25日<75日で売り | 1.57倍 | 2.4% | −34.1% | 36 | 39% | 1.56 | 59% |
| (#001)5日>25日の間保有 | 1.99倍 | 3.6% | −37.2% | 129 | 33% | 1.43 | 58% |
| (#001)25日>75日の間保有 | 1.42倍 | 1.8% | −35.7% | 40 | 38% | 1.44 | 60% |
パーフェクトオーダーの間だけ持つと、年率2.5%、最大下落率−38.1%でした。下落率は買い持ちの−61.4%よりかなり小さいものの、年率は買い持ちの7.3%の3分の1ほどです。条件を1本増やしたのに、5日線と25日線の2本だけで判定した#001の版(年率3.6%)に負けました。75日線の条件を足すと保有率が58%から40%に下がり、上昇の初めの部分を取り逃がすためです。
「3本とも上向き」を加えると、さらに悪化しました。上向きの条件は1日の揺れで外れやすく、区間の半分が3日以内に終わります。取引は216回に増え、PFは1.11まで落ちました。
利益は一握りの長い区間から
主ルールの勝率は29%で、負けの平均は−2.31%、勝ちの平均は+8.40%でした。98回の取引の損益を単純に合計すると+73.24%ですが、上位10回だけで+180.92%あります。最大の勝ちは2012年11月からの124日(+56.50%)です。「始まったら続く」のは一部の区間だけで、残りの多くは小さな負けで終わっています。コストを除くと年率3.58%(PF1.63)なので、往復0.2%のコストも響いています。
期間を変えると崩れる
5・25・75日を±20%変えて試しました。6/30/90日では年率2.17%(取引79回)と近い結果でしたが、4/20/60日では年率−0.56%、PF1.02と、ほぼ利益が消えました。期間を短くすると並びの出入りが増え(取引125回)、小さな負けが積み重なります。5・25・75日という組み合わせが、たまたま悪くない位置にあった可能性があります。
検証②:逆の並びでは逃げるべきか
逆パーフェクトオーダーは「強い下落トレンド」の目安とされます。では、逆の並びの間だけ現金にすれば、下落を避けられるでしょうか。状態ごとに、その日の終値から20営業日後までの平均リターンを比べました。
パーフェクトオーダーの日の20営業日後リターン(+0.74%)は全日平均とほぼ同じで、逆の並びの日(+1.20%)の方が高くなりました。翌日1日だけで見ても、逆の並びの日の翌日は平均+0.085%、パーフェクトオーダーの日の翌日は+0.042%です。大きく下げた後は戻しやすいという、#011などで見てきた日経平均の短期的なクセが、ここでも出ています。
| 戦略 | 最終資産 | 年率 | 最大下落率 | 取引 | 勝率 | PF | 保有率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 買い持ち | 3.93倍 | 7.3% | −61.4% | — | — | — | 100% |
| パーフェクトオーダーの間保有 | 1.63倍 | 2.5% | −38.1% | 98 | 29% | 1.45 | 40% |
| 逆の並びの間だけ現金 | 1.74倍 | 2.9% | −46.7% | 70 | 31% | 1.49 | 78% |
| 逆の並びの間だけ保有 | 1.71倍 | 2.8% | −47.7% | 70 | 77% | 1.74 | 22% |
逆の並びの間だけ現金にすると、78%の期間を持っているのに年率は2.9%にとどまりました。反対に、逆の並びの間だけ持つ逆張りは、保有率22%で年率2.8%、勝率77%です。持つ期間がずっと短いのに、年率はほぼ同じでした。逆の並びは「逃げる合図」として働かず、むしろ下げすぎの目安に近い結果です。
ただし逆の並びは急落を完全には避けられません。2008年10月27日(7,163円)や2020年3月19日(16,553円)はどちらも逆の並びの最中でした。逆の並びは下落がある程度進んでからそろうため、急落の初めの部分は避けられません。2024年8月5日の急落(31,458円)の日は、逆の並びにもなっていませんでした。パーフェクトオーダーは7月23日(39,594円)に終わっており、その時点で現金にはなっていました。
読み解き
- パーフェクトオーダーは「続いてきた上昇」の確認で、予告ではない。始まった直後にさらに10日続く確率は51%。並びが始まった日の20営業日後リターンは+0.32%で、全日平均+0.75%を下回った。
- 3本目の線を足しても成績は良くならない。並びの間保有は年率2.5%で、#001の5日>25日(3.6%)に負けた。3本上向きの条件を足すと年率0.6%まで落ちる。条件を重ねるほど、上昇の初動を逃す。
- 逆の並びは逃げ場ではなく、むしろ戻りの前。逆の並びの日の20営業日後リターンは+1.20%で全日平均を上回り、逆の並びの間だけ持つ逆張りが勝率77%を出した。日経平均では「下げの並び」に順張りで反応すると損をしやすい。
成績のまとめ(パーフェクトオーダーの間保有)
取引は19年で98回、期間を4/20/60日にすると年率−0.56%とマイナスになった。PF1.45と下落率の小ささは評価できるが、年率2.5%は買い持ち7.3%の3分の1ほどで、2本線の#001(5日>25日)にも届かない。「3本そろうまで待つ」ことに、追加の価値は見つからなかった。
自分で試す(TradingView)
//@version=6
indicator("パーフェクトオーダー(5・25・75)", overlay = true)
s1 = ta.sma(close, 5)
s2 = ta.sma(close, 25)
s3 = ta.sma(close, 75)
po = s1 > s2 and s2 > s3 // パーフェクトオーダー
rev = s1 < s2 and s2 < s3 // 逆パーフェクトオーダー
plot(s1, "5日線", color = color.teal)
plot(s2, "25日線", color = color.orange)
plot(s3, "75日線", color = color.blue)
bgcolor(po ? color.new(color.green, 88) : rev ? color.new(color.red, 88) : na, title = "並び")
plotshape(po and not po[1], "並び開始", shape.triangleup, location.belowbar, color.green, size = size.tiny)
plotshape(not po and po[1], "並び終了", shape.triangledown, location.abovebar, color.red, size = size.tiny)

