名前は違うのに中身は同じ? 42指標の“双子”を一致率マップで探す
この特集は、ラボで検証した約100本の指標の主ルールをまとめて集計したものです。サイトの記事として紹介しているのは、そのうち厳選した41本。名前だけが出てくる指標は、記事にしていない検証分です。
- 861組のうち、保有日が95%以上一致する“双子”は4組、85〜95%の“いとこ”は32組。全体の平均一致率は55.5%
- 双子は式の書き換えで生まれる。乖離率とエンベロープは100%、MACDとPPOは99.2%一致
- 双子3本を混ぜても値動きの大きさは2%しか減らないが、相関の低い3本(DMI・TRIX・RCI)なら25%減った(参考)
双子の見つけ方:一致率とリターン相関
比べたのは、トレンド系18本、モメンタム系9本、オシレーター系9本、バンド系6本の計42本です。各記事の主ルールを同じ式・同じパラメータで再計算し、42本すべてで年率が記事の値と0.1ポイント以内で一致することを確かめました。
物差しは2つです。一致率は、2007年4月13日〜2026年10月2日の4,760日のうち、2本が同じ状態(どちらも保有、またはどちらも現金)だった日の割合。リターン相関は、コスト控除後の日々の損益がどれだけ連動するかです。2つの順位相関は0.95で、ほぼ同じ並びになりました。
÷ 全日数(4,760日)
一致率は「現金どうし」でも稼げる
一致率が高い=同じ日に買っている、とは限りません。保有率が2割前後の逆張りどうしは、現金の日が重なるだけで一致率が上がります。%bとZスコアは一致率81.0%ですが、どちらかが保有した日のうち両方が保有していたのは39.8%だけでした。
42本の一致率マップ
似たもの同士が隣に来るように並べ替えた(平均連結法のクラスタリング)一致率の表です。角線で囲んだ濃い塊ほど、同じ売買をする仲間です。
861組の平均一致率は55.5%。85%未満が825組で、大半は「別人」です。同じ系統どうしの平均は67.7%、系統をまたぐと50.7%。系統別ではモメンタム系が77.3%と最も身内意識が強く、オシレーター系は59.2%でした。85%の高さで切ると42本は25のグループに分かれ、2本以上でまとまったのは10グループです。
双子といとこ
| 組み合わせ | 一致率 | 相関 | 似る理由 |
|---|---|---|---|
| エンベロープ × 乖離率 | 100.0% | 1.00 | 同じ式の別表現 |
| MACD × PPO | 99.2% | 0.98 | PPOはMACDを価格で割ったもの |
| MACD × TSI | 95.2% | 0.90 | どちらも平滑化した勢いのシグナル交差 |
| PPO × TSI | 95.1% | 0.90 | 同上 |
| TRIX × KST | 92.3% | 0.91 | ゆっくりした変化率のシグナル交差 |
| AO × DPO | 91.4% | 0.91 | どちらも「今の値」と「少し前の平均」の比較 |
| BB順張り × ケルトナー | 91.3% | 0.87 | 上側バンド超えで買い、中心線割れで売り |
| ROC × DPO | 89.8% | 0.91 | どちらも約20日前との比較 |
| ストキャス × SMI | 88.8% | 0.91 | SMIは高安値の中心からの距離版ストキャス |
| ドンチャン × CCI | 88.7% | 0.85 | CCIの主ルールは+100超えの順張り |
双子は4組。乖離率(#014)とエンベロープ(#035)は年率2.50%、取引45回まで同じで、実質1本です。意外なのはMACD(#003)とPPOで、状態が違ったのは4,760日中36日(0.8%)だけなのに、年率は2.96%と1.75%。シグナル交差の前後で売買が1日ずれるだけで、19年分の差がつきます。
主ルール同士ではありませんが、モメンタム(10)>0とROC(10)>0、AO(5,34)>0と「中値の5日平均>34日平均」も100%一致します。DPO(20)>0は「終値>11日前の20日線」そのものでした。
同じ家族なのに他人
名前や計算の材料が近くても、パラメータや出口が違えば別の戦略になります。
- RSI(#002)×CMO:77.5%。CMOは単純平均のRSIを伸ばしたものですが、#002はワイルダー式で30/70、CMOは±50(単純RSIの25/75)。CMOとワイルダー式RSI 25/75でも69.0%で、平均の取り方だけでずれます。
- %R(#034)×ストキャス(#005):74.0%。%Rはファスト%Kから100を引いただけですが、#034は水準で売買し、#005は%Kと%Dの交差で売買します。
- モメンタム×ROC(#019):75.0%。同じ日数なら100%一致する組ですが、10日と20日の違いで4分の1の日がずれます。
- CCI(#029)×%R(#034):15.6%。同じオシレーター系でも、CCIの主ルールは順張りで、最も近いのはドンチャン(#025)の88.7%。42本で最も遠い組はALMA×%Rの7.9%でした。
トレンド系でも、SMA50×200(#001)と200日線の傾きは81.3%、DEMAとTEMAは83.7%で、双子には届きません。
参考:双子を混ぜても分散にならない
この42本の中で成績の良かった7本から、日々のリターン相関の平均が最も低い3本(DMI・TRIX・RCI、平均相関0.36)を選び、等金額で毎日リバランスしました。比較として、双子のMACD・PPO・TSI(平均相関0.93)も同じように組みます。組み合わせは結果を見た後に選んだものなので、参考扱いです。
| 戦略 | 年率 | 最大下落率 | 年間の変動 |
|---|---|---|---|
| 買い持ち | 7.3% | −61.4% | 23.6% |
| DMI(#018) | 3.1% | −32.9% | 13.0% |
| TRIX | 3.1% | −26.7% | 14.0% |
| RCI(#007) | 2.9% | −55.2% | 17.7% |
| 低相関3本の等金額 | 3.5% | −29.0% | 11.2% |
| 双子3本の等金額 | 1.6% | −41.7% | 14.2% |
低相関3本の年率3.53%は、単独の平均3.01%を上回りました。年間の変動は単独平均14.9%から11.2%へ25%小さくなっています。双子3本は変動が2%しか減らず、最大下落率も単独平均−41.8%に対して−41.7%で、混ぜた意味がほとんどありません。ただ、どちらも年率は買い持ち7.3%に届いていません。
読み解き
- 本当の双子は4組だけ。42本は25のグループに分かれ、名前の数ほど似てはいない。85%未満が825組。
- 双子は式の書き換えから生まれる。乖離率とエンベロープ、%bとBB、ZスコアとBB(50)、CMOと単純RSIは、しきい値をそろえると100%一致する。
- 組み合わせるならグループをまたぐ。双子3本の等金額は変動が2%減っただけ。低相関3本は25%減り、最大下落も−29.0%だった。
成績のまとめ(集計)
この記事は売買ルールの検証ではなく、既存の主ルールどうしの似かたを測る集計である。分散の例は結果を見た後の組み合わせなので参考にとどめる。
自分で試す(TradingView)
//@version=6
indicator("MACDとPPOの双子チェック", overlay = false)
fast = ta.ema(close, 12)
slow = ta.ema(close, 26)
macd = fast - slow
ppo = macd / slow * 100
mOn = macd > ta.ema(macd, 9)
pOn = ppo > ta.ema(ppo, 9)
plot(mOn ? 1 : 0, "MACD>シグナル", color = color.blue)
plot(pOn ? -1 : 0, "PPO>シグナル", color = color.orange)
bgcolor(mOn != pOn ? color.new(color.red, 70) : na, title = "状態が違う日")

