「5つの指標で多数決したら、1つより賢くなりますよね?」
- 3票以上で保有すると年率3.5%・最大下落率−32.3%・取引197回。前半・後半とも年率3.5%だった
- 速い4本(MACD・ROC・DMI・AO)は互いに似ていて、全員一致の日は29.7%。独立なら7.1%のはず。実効的な票数は2.93票
- 単独の年率は2.9〜3.1%の4本には勝ったが、SMA50×200単独の6.5%には届かない
5本の票を数えるだけのルール
使うのは、すでに単独で検証した5つのトレンド判定です。どれも「上向きなら1票、そうでなければ0票」に直し、毎日の終値で合計します。
+ [+DI>−DI] + [AO>0] (各0か1)
保有:票 ≧ 3 現金:票 ≦ 2
「5本の多数決なら、5人に相談したのと同じ」とは限りません。ROCとAOは85.5%の日で同じ判断をします(特集“双子”の相関マップと同じ値)。似た指標を足しても、同じ意見の人が増えるだけです。
実際の日経平均で見てみる
2025年4月7日(31,136円)は5本とも反対の0票でした。4月21日(34,280円)にMACDだけが賛成に変わり、4月28日(35,840円)に3票となって買い。SMAは反対のままでも、速い3本がそろえば保有に入ります。票が2と3の間を往復すると売買が続きます。2025年11月18日に売り、20日に買い、21日に売りと、3日で往復しました。2026年10月2日(68,309円)は5票です。
検証:多数決と、5本それぞれ単独
ルール:5票中3票以上の間だけ保有。感度は5本の期間をすべて×0.8(SMA40/160、MACD10/21/7、ROC16、DMI11、AO4/27)と×1.2(SMA60/240、MACD14/31/11、ROC24、DMI17、AO6/41)にした2通りで、しきい値は3票のまま。単独ルールも同じ方法で感度を取りました。条件は共通の検証ルールのとおりです。
| ルール | 取引 | 年率 | 最大下落率 | PF | 勝率 | 保有率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 買い持ち | — | 7.3% | −61.4% | — | — | — |
| 多数決 3/5 | 197 | 3.5% | −32.3% | 1.39 | 29% | 57% |
| SMA50>200(#001) | 15 | 6.5% | −36.7% | 2.51 | 33% | 61% |
| MACD(#003) | 188 | 3.0% | −35.4% | 1.26 | 36% | 51% |
| ROC20(#019) | 253 | 2.9% | −31.3% | 1.31 | 34% | 58% |
| +DI>−DI(#018) | 233 | 3.1% | −32.9% | 1.31 | 26% | 52% |
| AO | 102 | 3.0% | −35.9% | 1.42 | 35% | 59% |
多数決は年率3.5%で、速い4本(2.9〜3.1%)をわずかに上回りました。最大下落率−32.3%はROC単独の−31.3%とほぼ同じです。目立つのは前半3.5%・後半3.5%という安定ぶりで、単独では前半が0.0%(MACD)や−0.1%(AO)の指標もありました。一方、SMA50×200単独の6.5%には大きく届きません。感度は×0.8で3.4%、×1.2で1.2%と、長い側で落ちました。
何票で保有するか(参考)
1票以上は保有率90%でほぼ買い持ちに近く、年率6.8%でも最大下落率は−39.4%。全員一致の5票は保有率20%で、最大下落率は−18.9%まで浅くなりました(年率2.2%)。4票は取引212回・PF1.21と最も振り回されます。いずれも結果を見てからの比較なので参考扱いです。
組み合わせて分かったこと:票はどれだけ独立か
0/1の票どうしの相関(φ係数)を10組すべてで測ると、最大はROCとAOの0.70、ROCとDMIの0.66、DMIとAOの0.64。速い4本どうしの平均は0.51です。SMAと他の4本は−0.08〜0.10で、ほぼ無関係でした。相関行列から計算した実効的な票数は2.93票。5本の合議は、実質「SMA・MACD・速い3本の塊」の3者会議です。
独立した5票なら、各指標の賛成率から計算して全員一致(0票か5票)は7.1%しか起きません。実際は29.7%でした。多数決の判断とROC単独の判断は91.3%の日で同じで、SMAとは60.9%です。SMAが少数派になると、その票はほぼ捨てられます。SMAだけが反対の4票の日は567日、SMAだけが賛成の1票の日は649日ありました。
票の数は20日後の値動きをほとんど予想しません。保有に入ったばかりの3票の日が最も悪く、現金側の1票の日が最も良い結果でした。それでも成績が残るのは、深い下げを避けるからです。2007年7月〜2009年3月の下げで、買い持ちの−61.4%に対し多数決は−16.8%でした。単独5本の負けトレード535回のうち、始まった日に多数決が現金だったのは126回(24%)。ダマシの4分の3は、多数決でも同じように踏んでいます。
読み解き
- 合議は平均点を安定させる。年率3.5%は速い4本の2.9〜3.1%を上回り、前半と後半の差もなかった。
- 5票は5つの意見ではない。速い4本のφは平均0.51、実効的な票数は2.93。全員一致は独立の場合の7.1%に対し29.7%。
- いちばん違う1票が多数決で消される。SMA50×200は単独で年率6.5%だが、他の4本と逆を向くと票が数えられない。多数決との一致は60.9%。
成績のまとめ(多数決 3/5)
取引197回、前半・後半とも年率3.5%。この水準は買い持ち7.3%の半分ほどだが、最大下落率は−32.3%と買い持ちの−61.4%より大幅に浅い。ただし×1.2の感度で年率1.2%まで下がり、SMA50×200単独(6.5%)より低い。合議で得たのは成績の上積みより、期間をまたいだ安定だった。
自分で試す(TradingView)
//@version=6
indicator("トレンド5指標の多数決", overlay = false)
need = input.int(3, "保有に必要な票", minval = 1, maxval = 5)
[m, s, _] = ta.macd(close, 12, 26, 9)
[dp, dm, _a] = ta.dmi(14, 14)
v1 = ta.sma(close, 50) > ta.sma(close, 200) ? 1 : 0
v2 = m > s ? 1 : 0
v3 = close > close[20] ? 1 : 0 // ROC(20) > 0
v4 = dp > dm ? 1 : 0
v5 = ta.sma(hl2, 5) - ta.sma(hl2, 34) > 0 ? 1 : 0 // AO > 0
votes = v1 + v2 + v3 + v4 + v5
plot(votes, "賛成票", color = color.blue, style = plot.style_columns)
hline(need - 0.5, "しきい値", color = color.orange)
bgcolor(votes >= need ? color.new(color.green, 88) : na, title = "保有中")

